『心に響く歌声で、人々を誘惑するストリートシンガー現る…だってさ。ユキネ凄いじゃん、雑誌に載るなんてさ』

ハナは笑顔で言った。

『…雑誌に載ったとかどうでもいいよ』

ユキネは素っ気なく言って歩き出した。

『えー、ウソだー。本心は嬉しい癖に。ほら、周りの人たちもユキネを見てるよ、きっと雑誌に取り上げられたからだよ』

ハナはユキネの後を着いて歩いた。

『別に嬉しかねーよ』

『えー、本当に?そうなんだ…でも、あたしは凄く嬉しいけどな』

『何でハナが嬉しいんだよ?』

ユキネは立ち止まりハナに尋ねた。

『だってさ、雑誌に取り上げられたって事は、きっと色んなレコード会社からユキネ宛に電話かかってくるよ。そしたらユキネはデビュー間近じゃん、だからあたし嬉しいんだ』

ハナは笑顔で言った。

『デビュー間近か…』

ユキネは考え込んでまた歩き出した。