『歌手は滑舌よく発音よくじゃなきゃ、みんなに詞を聴かせられないからね』

カオリは自慢げに言った。

『じゃあ、今日はここまでね。みなさんお疲れ様』

そう言ってカオリはスタジオをさっさと出て行った。

レッスンが終わったレッスン生たちはそれぞれ着替えをしたり、一休みしたりしていた。

『ユキネ、ユキネ』

ハナは着替えが終わり、スタジオを出たユキネを追いかけた。

『一度呼べば分かるよ』

ユキネは素っ気なく言った。

『ねぇ、ユキネ今日もストリートやるんだってね?』

ハナはユキネに尋ねた。

『ああ…』

『今日はあたしバイトないからストリート見に行っても良い?』

『ああ…勝手にしなよ』

ユキネは素っ気なく言った。

『じゃあ、絶対見に行くね。また後でね』

『ああ』

そう言ってユキネはハナと別れた。

『16時か…』

ユキネは公園の時計を見た。