『ユキネ…』

ハナはそんなユキネをじっと見つめていたが、突然立ち上って土手を駆け降り、川原の草村で草をかきわけ、月明かりを頼りに何かを探し始めた。

『…ハナ!?』

ユキネは目に涙を浮かべながら、探しものをしているハナを見つめていた。

『うーんと…確かこの辺にあるんだけどな』

ハナは必死に何かを探し続けていた。

そして10分が過ぎた。

『み、見つけた!!』

ハナは手に何かを持ちながら土手を駆け上がって、またユキネの隣に座った。

『ハナ、一体何してたんだよ?』

ユキネはハナに尋ねた。

『これ、ユキネにあげる』

ハナはそう言って、一輪の白い花をユキネに手渡した。

『花?』

『この今にも滴りそうな雪の雫に似た純白の花はね、“スノードロップ”っていう花なんだけど…あたしの1番好きな花なんだ』

ハナは笑顔で言った。