『ありがとう』

楓は笑顔でお礼を言った。

『ああ、じゃあな』

シュンはそう言ってユキネの母親のいる病室へと向かった。

『ユキネー!!』

シュンは病室の扉を勢いよく開けた。

『あれ?…ユキネ?』

シュンが病室を見回すと、眠っているユキネの母親がいるだけで、ユキネの姿はなかった。

『寒い…あっ!!』

びしょ濡れになったまま家へと歩いているハナは、土手に座って川を見つめているユキネを見つけた。

『ユキネ!!』

ハナはユキネに歩み寄った。

『ハナ…』

ユキネはハナに気付いた。

『お前どうしたんだよ!?びしょ濡れじゃないか?』

ユキネはびしょ濡れのハナを見て驚いた。

『えっ…その…ボケーと歩いてたら、ちょっと川に落ちちゃって』

ハナは嘘をついた。

『大丈夫か?』

ユキネはハナを心配した。

『うん、大丈夫だよ』

ハナはニコッと笑って言った。