翌日も朝からルナティック・ゼロはライブを行った。

そしてこの日もシュンはライブが終わった後、ホテルへと戻りまた一人ホテルを抜け出した。

『ここに来るとまた会えると思ってたんだがな…今日はこの雨だもんな。さすがにいないか』

シュンは夜空から降り注ぐ雨の中を、ビニールの傘をさしながら公園中を少し歩いた。

すると数人の少女たちが煙草をくわえながら、一人の中年男性を取り囲んでいた。

『金ならもうない…見逃してくれ』

中年男性は弱々しく奮え声で言った。

『チッ、たった3万円かよ、貧乏なオッサンだな。金がないならもう用はないよ、さっさと失せな』

そう言って髪の短い一人の少女は、中年男性を蹴り飛ばした。

『ひいぃぃぃー』

中年男性は悲鳴をあげて走り去った。

『悲鳴あげてやんの、ダッセー』

少女たちは大笑いしていた。

『よっ、ここに来たらまた会えると思ってたよ』

シュンは少女たちに歩みより、長い黒髪の少女を見て言った。