ハナは目に涙を浮かべながら、びしょびしょのまま立ち去った。

『どうしてこんな目に合わなきゃならないの…』

ハナは涙を零しながら、日が沈む街をトボトボ歩き、家へと向かった。

ユキネはこの1週間付きっきりで母親の傍にいた。

『ママ…』

ユキネは1週間が過ぎても意識を取り戻さない母親を見るたび、涙が零れた。

その頃シュンはユキネに差し入れをと思い、ユキネに食べ物を届けに病院の中を歩いていた。

『あれ?君は確か…月姫 楓ちゃんだったよな?』

シュンは病院のロビーの椅子に一人座っている小さな女の子楓に気付いた。

『あ、ギターのオジチャン!!』

楓もシュンに気付いた。

『こんなとこでどうしたんだ?』

シュンは楓に尋ねた。

『あたしね、あたし生れつき心臓が弱くてね…それで今日は診察日なんだ』

楓はシュンに事情を説明した。