『アイツ一人にお前の教育を任せたのは失敗だったな』

埼京は突然そんなことを言い出した。

『ユキネ…お前の事を色々調べさせて貰ったよ』

埼京は鞄から一枚の紙を取り出した。

『調べたって…何を?』

ユキネは意味が分からなかった。

『仮にもこの俺の娘なのに高校は中退するし、不良グループとつるむし、色々悪い事もしてきたみたいだな』

埼京は紙を見て言った。

『だったら何だよ?』

ユキネは埼京を睨んだ。

『俺は政治家だ。俺の実の娘が不良娘だと世間に知られたら、俺の立場はどうなる?俺が築きあげた地位が崩れ落ちてしまう。お前みたいな娘がいて俺は恥ずかしい…不良娘なんてサイテーだからな』

埼京は冷たく言い放った。

埼京のその言葉を聞いたユキネは唇を噛み締め、こぶしをギュッと握りしめた。

『頼むから警察沙汰の騒ぎだけはやめてくれよ、ユキネ』

埼京はそう言って立ち去ろうとした。