「さて、問題の[レ]の音は 出るようになったのかしらね?」 フルートを組み立て、音を出してみた。 ──〜〜〜♪… 透き通ったフルートの音が公園に響いた。 乃栄が音を出した瞬間、 時間が止まった感じを思わせる空気が広がった。 「…うん、大丈夫。」 穏やかな笑顔でそう言った。 すると乃栄は、 何の楽譜も見ずに一曲吹いた。 それは、乃栄によく合った ゆったりしていて、でも、細かい指使いの クラシック系の曲だった。 _