東西線は相変わらずの込み具合で、独特の熱気が篭もっている。

とにかくあの女の後ろをキープしなければ!

そう思っていたが、流れに押されてチョットずれてしまった。

女の後ろは、30代半ばの男になりこれ以上離れないようにするのが精一杯だった。

何故なら、次の駅で10人ほど乗り込んできて奥にやられそうになったからだ。

とにかく見失わないように、さりげなく女を見張っていると

一駅を過ぎた頃から女の表情があからさまに変わった。

そわそわと体を動かし、顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていった。

ん?何だ?あのどことなくぎこちない動き、痴漢にでもあっているのだろうか!

それにしては動きがおかしい自分から後ろの男に擦り寄っているようにも見える。

しかし、ここからだと肝心の後ろの男の様子がまったく解からない。

なんとか揺れに任せて隣に移動すると視線を下にずらした。

男の手はもぞもぞと動いてはいたが、痴漢をしていると言うよりは

とにかく手をずらしてこの状況から逃れようとしているようだった。

それをあざ笑うように女の尻は男の手を捕らえて放さない。

ブレーキ音に紛れて、カメラモードにしておいた携帯で4.5枚撮った。

証拠の写真さえ撮っておけば、後々何かの役に立つだろう。

上手く撮れているといいんだが…

それにしてもこの女何を企んでいるんだろう?

次の駅まで後5分!このまま終わるとは思えなかった。