「…っ、科野お前、

蓮を殺したいのか?」


 瀬戸はあくまでも平然を

保とうとしている。

「警告する!警告する!

速やかに武器を捨てて、

外へ出てきなさい!」


 警察はメガホンを通して

倉庫にいる瀬戸に言った。


 瀬戸は蓮を連れて、倉庫の

ドアの近くに立った。

「るせぇ!!こっちには

人質がいんぞ!中に女が

一人いる。殺されたくなかったら

そこを動くんじゃねぇ!」


 瀬戸は怒り狂ったかのように

暴れ始めた。

「まずはお前からだ、科野。

お前はやけに面倒や奴だ」


 瀬戸は銃を玲華に向ける。

玲華は避けるしかないと

思っていた。


 短銃のスピードは、約300m/秒

と聞いたことがある。玲華と瀬戸の

距離は2m弱。なんとか避けられる

かもしれない。


 瀬戸が引き金を引くその瞬間に、

玲華は横に動いた。

髪にかすったような感触だけが残り、

瀬戸の持つ銃を拳で振り払った。


 玲華は落ちて転がる銃を拾い、

瀬戸に向けた。