瀬戸は静かに笑って、

「いいだろう。神楽」

「はい」


 蓮を連れてきた男が返事をする。

「あの娘を学校まで送ってやれ」

「分かりました」


 神楽は玲華を抑えようとしたが、

玲華は蓮が組織に戻るということに

対して、何か言わずには済まなかった。

「イヤだよ!蓮は、蓮はどうなるの?

もう会えないの?これからどうなるの?」


 玲華は泣きながら、叫んだ。

「俺は組織に入る。ゴメンな。俺、

お前のこと振り回してたわ。やっぱ

人はそう簡単に変われないんだな」


 蓮はやっとの思いでそう言うと、

踵を返し、もと来た方向へ行ってしまった。

「違う!それは間違ってる!

簡単なのは諦めることで、

そんなの……蓮じゃないっ」


 神楽は感情的になる玲華を抑えて、

倉庫から出そうとした。

「ごめん…、ほんとごめん。玲華」

「イヤ、離して!蓮っ、いやぁ

行かないでってば!蓮…っ」


 蓮は玲華の言葉を振り切るように

して、立ち去った。玲華はその場に

しゃがみこみ、蹲ってしまった。


第3節 完