そいつは片づけをする手を止め、俺を睨んだ。 「嫌いになりそうだったから…ピアノやめて…っ…でもやめてもっ…ずっと苦しくて…っ」 どちらも同じくらい苦しかった。 違うことをしていても退屈で…。 何をしていても色褪せないピアノをやっていた頃の記憶がよぎる。 それが余計苦しい。 音楽なんてやりたくない。 もうやりたくないんだっ!! 掻き乱さないでくれっ!! やっとのことで封じ込めたんだ!! これ以上俺に思い出させないでくれ…!!