「図書室」



夕焼け色に染まる背中


いつもの席で


いつものように




この場所から

あの人の背中を見るのが

私の楽しみだった




ちょうど斜めからの角度


シャープなあご

サラサラの髪

ペンを回す指


白いシャツが


オレンジ色に染まる頃



あの人は深呼吸をして


立ち上がる





難しそうな本と

ノートを持って




名前も知らない

あの人



大人びた横顔と

大きな背中



まだ声を聞いたこともない




あと何回

ここで会えるだろう



あとどれくらいで


あの人に近づけるだろう