「お姫様抱っこ」




体育の時間



憧れのあなたが蹴ったサッカーボールが




私の元へ





とっさに思ったこと





――私に当たればいいのに――





願いは叶った




あなたの声が遠くから聞こえた






全然痛くなかったのに

心配そうに私の頭を撫でた






大きな体のあなたが

ヒョイっと

私を抱き上げた




ずっと夢見てた


大好きな人にお姫様抱っこしてもらうこと





夢が叶った





もっともっと好きになるよ




保健室までの数分



夢の中のようだった




ごめんと謝るあなたに


ありがとうとつぶやいた





言ってしまいそうだった


好きですと





あなたの腕の中は

一生忘れられない素敵な場所