「夏祭り」



花火の匂い


フランクフルトのケチャップをこぼした浴衣


金魚すくいの金魚たち




夏祭りの後は

寂しさがこみあげる




わざとゆっくり歩く



友達と恋の話をしながら





さっきまで大きな花火で彩られていた夜空


今はただ

ひっそりと三日月だけが浮かんでる




夏祭りの夜


帰りたくない夜



いつかあの人と花火が見たいね


なんて




そんな話をしながら


あの人の笑顔思い浮かべ






叶わぬ夢だと

わかってる




小石の転がる道


金魚が驚かないよう

静かに歩く




向こうから歩いてくる数人の男の子


その中にあの人がいること


すぐに気付いてしまう




笑い声

背の高さ




すれ違う瞬間

勇気を出して顔を上げた



目が合った




私の気持ちを知っているあの人は

私と目が合って

一瞬笑ってくれたような気がした




届かぬ想い


一方通行の恋だと思っていたけど




届いていたんだね

この想い




振り向いた私に


あの人は手を振った




浴衣が涙で濡れる



金魚が驚くね




突然泣き出した私は

遠くに見えるあの人につぶやく



-やっぱりあなたを忘れるなんてできないよ-




夏祭りの後



ちょっぴり切ないあの人への想いが


花火のように私の胸に響く