「藤、何か面白いことでもあったのか?」 教室に座るなり、草汰が前に座り尋ねてくる。 「別に」 「うっそだー。 明らかにいつもより機嫌よさげじゃん」 「……」 草汰って、バカなくせして何でこう勘が鋭いんだよ。 ちょっと、さっきの出来事が可笑しかっただけ。 そんだけなのに、変だよな。 しかも、こういう風に俺の変化に気づくのは今んとこ草汰と兄貴だけ。 長く一緒にいるだけはあるってことか。 ……草汰は引っ付いてくるから離れられないだけだけど。 「それで最近どーよ。あの可愛い先輩」