「俺は俺は……サッカーでも恋でも赤羽藤をライバル視してたのに知らないなんて知らないなんて………」
うげっ。
いじけてる。
床に座って円とか書いてるし。
「こうなったら……」
翔先輩が勢いよく立ち上がる。
「けん玉で勝負だあぁぁぁ」
「「けん玉?」」
指で俺を指した先輩に草汰と声を揃えて驚く。
意味がわからない。
勝負する意味も、けん玉する意味も。
「ずっと、考えてた」
うわっ、めんどい語り始まりそー。
「赤羽藤と勝負するのに何で勝てるか。
サッカーでは高等部からスカウトされてるお前には勝てない。
では何で勝てる?
そう俺自身に問いかけたとき、一つの名案が浮かんだ。
……そうだけん玉をしよう。
こんなマイナーなもの赤羽藤が得意なはずがない
俺にも勝ち目がある、とね」

