「お、俺のことしらないのか?」
「まあ……はい」
返事を返すとショックが激しいらしく頭を抱え込んでしまった。
ちょっとかわいそうだな。
存在忘れられるとか悲しいよな。
けど全く記憶にない。
こんなキャラ濃い人忘れるわけねーし。
「藤、藤」
「ん?」
草汰がちょいちょい呼ぶので耳を傾けた。
「この先輩、高等部でサッカー部補欠の佐川翔先輩だよ」
佐川翔?
聞いたことない。
「っつか補欠の先輩を何でお前が知ってんだよ」
「いやあ、俺も中等部で補欠じゃん。
高校入ってお世話になりそうな先輩チェックしてた」
……こいつも可哀想な奴。
高校でも補欠になる気満々かよ。

