夕陽はすでに終わってしまった紅葉を再現するかのように、全てを紅く染め上げてゆく。



寝床に帰っていくのだろうか。


カラスたちが、群れを成して遠く、暖色で染まった空を横切ってゆく。






「俺は鬼で、夕枝は人間だから、ずっと一緒ってわけにはいかないんだよなー。俺はここから出られないし」



眼前の景色を眺めていたシュウがかぶりを振ったのが視界の隅に見えた。


「ちぇっ」と不満そうなシュウの声が、静かな塔に零れ落ちる。




ちらりと横を盗み見る。

横顔は、思いがけなく幼い子どものようだった。



「……」



それを可愛いと思ってしまった自分が居ることにに気付き、すぐにハッとした。



自分に叱咤して、前を向いたままでシュウに話しかける。