けれども、現実はそう甘いものではない。










シュウと二人、並んで時計塔の手すりに腰掛ける。


それは少し危ないけど、塔からの景色は、比べ物にならないくらいよく見える。


向けられた視線は沈んでいく太陽を捉えていて、その手前に広がる赤とも橙ともとれる色合いに染まった街並みが目に触れる。



それは、ひどく優しく切ない光景に思えた。



「綺麗だよな」


「うん」



呟かれた言葉に反射的に頷き返した。