――タンッ… 右足が、最後のコンクリートの階段を蹴り上げて、頂上に着いた。 彼は、そこに、居た。 その姿を視界の内に収めると、思わず顔の筋肉が緩んだ。 木枯らしが、体を取り巻いて、一気に鳥肌が立つ。 寒さのせいなのか。 それとも、興奮しているからなのか。 理由は、わからないけれど。 恋で胸が焦がされる。 止まらない。 止められない――。 シュウ……。