時計塔の鬼



「夕枝姉ちゃんー! 秀義兄さんー!」


「お久しぶりッスー! すみませんが、お水下さい……」


「あら、葉ちゃんに田中君。お久しぶり」



そうしてまたゴタゴタと騒いでいるリビングを見やりながら、歩美と子供たちのことを話していると、聞き慣れてしまった二つの声がして、すぐそこのドアを開けると、ネクタイを緩めた姿の従兄弟とその友人が居た。

少し酒臭いから、どこかですでに飲んできたらしい。

と、次いで、ドアが再びバタンと開く音。



「夕枝ちゃーん! 元気ー?! いいお酒持って来たわよ~!」


「げっ、お姉ちゃん……」


「あ、歩美おばさん、夕枝おばさん、こんばんは~。母がいつもお世話になってます」



ドアをいささか乱暴に開けて侵入してきたのは、『鳳凰酒』と書かれたラベルを張り付けたお酒のビンを持ったさくらさんと、その娘・みかんちゃん。

関西弁はそのままに、優しい雰囲気をまとうようになった友人の姪っ子に、思わずホロリと涙が溢れそうになった。

月日が過ぎるのは、やはり早い。

中学生だと思っていた子は、もう社会人として立派になってしまっている。



「みかんちゃん……いい子に育ってくれて、私はものすごく嬉しいわ! よくあんなお姉ちゃんのもとでこんなに良い子が……」


「まあ、それはうちの天賦の才ってことで。あ、チビっ子ちゃんたちー! 遊んであげるー!」



人間の中身は、そう簡単には変わらないモノなのだけれど。

リビングにみんなを追い立てながら、バレないようにクスッと笑った。