時計塔の鬼



「あ、ごめんごめん!」


「げほっ……せめて、首絞めるのだけはやめてね、歩美。それじゃ、歩美、綾香ちゃん、坂田君、いらっしゃい」


「お邪魔します、毎度のことながら、ホントごめんな」


「お邪魔しまーす! 三実ちゃん、一樹君、二葉君、遊ぼー!」



トタトタと廊下を駆けて行った、歩美と坂田君の愛娘・綾香ちゃん。

そうして、歓声とともに彼女を迎える三つ子の大きな声が、耳に届いた。



「綾香ちゃん、元気そうじゃない」


「まあ、遊び盛りかな~って最近思うのよ。家の中が悲惨で、片付けるのが一苦労だけどね」


「一樹君たちと同い年なのに、なんでここまで違うんだろうな……」


「さあ、躾は秀の方が私より厳しいから、それでじゃないかしら?」


「ほら、やっぱり旦那の気質なのよ! しっかりしてよね、慎ちゃん!」


「……善処スル」



苦笑いしながらそう答えた坂田君は、いそいそとリビングに向かった。

向こうからは秀と子供たちの声が聞こえるから、何か一緒になって遊んでいるのかもしれない。



私が秀と同棲を始めてからも、結婚してからも、事ある度に歩美一家は私たちの家にやって来る。

秀曰く、正確には『押しかけて来る』だそうだけれど。