時計塔の鬼



「あいつらももう小四か……。早いな」


「誕生日が来れば、もう十歳よ。どうする? 三実に彼氏とかが出来たら」



その時の様子を想像したらしい、秀の顔色は真っ青になった。

眼はどこか虚ろになっている。

そうして、ガクリと首を垂れて、秀は顔を左手で覆った。



「……やべぇ、メッチャ嫌な親父になりそう、俺」


「……想像ついちゃうあたりが秀よね」


「それを言うなって。キスで塞ぐぞ?」


「まだ子供たち起きてるんだからダメ。さ、そろそろ戻って来る頃だし、ご飯にしよう?」


「りょーかい」



クスリと笑いながら、秀は脱いだ上着をソファに掛け、自身も手を洗いに台所へと向かった。



穏やかな日常。

すでに、秀と人間として再開した日からは、十二年の月日が経っていた。

私は今でも教師を続けているし、秀は会社でもがんばっているらしい。

三人の子供、という宝まで授かって――、けれど私は時々不安になる。

こんなに幸せでいいんだろうか、と。

こんなに幸せな日常が、いつまで続いてくれるんだろうか、と。

けれど――。



「夕枝」


「母さん!」


「ご飯食べようよ!」


「ちゃんと手洗ってきたよー!」