時計塔の鬼



そうして、しばらくしてから夕食会は解散となり、私はシュウの、歩美は坂田君の車で家に送ってもらうことになった。



「夕枝……訊くの忘れてたけど、ていうか本当は訊きたくはなかったんだけど……今、彼氏とか居ない、よな……?」



突然の、シュウからの不安げな質問。

今さら、彼は何を言うのだろう。

そんなの――。



「居るわけないじゃない。シュウは、私がそんな節操なしだとでもいうわけ?」


「いや、そういうわけじゃなくてさ。不安だったんだよ。一ヶ月待たしちまったわけだし」



そっか。

ふと同じような感情に思い至り、納得した。

同じなんだ。

先ほど、私がシュウに恋人がいるかどうか尋ねた時の私の気持ちと。

それに気が付いてなんとなく嬉しくなり、ふふっと笑ってしまった。



「あ、女々しいとか思っただろ今」


「別に? 気にするほどじゃないでしょ」


「男にとっては死活問題だ」


「そういうものなの?」


「そういうもんだ」



やけに自信を持ったシュウの物言いに、思わず吹き出してしまった。