時計塔の鬼



「それで、どーゆーわけか説明してちょーだいっ!」



ガンッとビールの入ったジョッキを強く机にぶつける音とBGMにして、歩美が口火を切った。

料理を注文し終えた私たちは、すぐに運ばれてきたビールとジンジャエールで、とりあえず乾杯をしたところだった。

ちなみに、ビールを飲むのは私たち女性陣だけ。

男性陣が飲むと、帰り道のアシがなくなってしまうのだ。



「歩美、まずは落ち着けって」


「慎ちゃんは黙ってて! 十分落ち着いてるじゃない!」


「そういうことは鏡見てから言え。ほら、とりあえず零れたボール拭けよ」



そう言い、シュウは近くにあった布巾を坂田君に放った。

歩美に、ではない所が正確な判断だと言える。



「んで、俺が消えてから、今日でどれくらいになる?」


「……ちょうど一ヶ月」



隣に座る私を見ての質問だったから、私が答えた。

すると、シュウは表情を曇らせて、静かな声で、「そっか。ごめんな、待たせて」と言った。

けれど、もう謝罪は車の中で聞いた。

だから、今は――。



「……それより、理由とか、今何をしているのかとか、説明して?」


「もちろん。んじゃ、前のおアツイお二人さん、聞く準備オッケー?」


「もちろんよ!」


「どうぞ?」



シュウの少しフザけたような問いかけに、歩美は拳を握り締めながら、坂田君はジンジャエールを一口飲んで、続きを促した。