時計塔の鬼



「かはっ……」


「ふんっ。ざまーみやがれ」


「調子乗ってる色男がこのザマとはな!」


「はむかってんじゃねぇっつーの!」



殴られ、吹き飛ばされたのは、杉浦秀の方だった。

ヤツは血の混じったツバをペッと吐き出し、口元を拭った。

その目は、憎いものでも見るかのように細められている。

杉浦秀は色素の薄い髪をゆらりと揺らして立ち上がり――。



「げぷっ……っ!」


「どっちがだっての。そんなザマでよく俺を殴りやがったな」



素早く、殴り返した。

呆然としていたその他二人は、すぐにハッと我に帰る。

そして、杉浦秀へと向かって行く。

時計塔の屋上は、瞬く間に戦場と化した。

双方の体に、傷や痣が作られていく。


だが――。






「っ、あぁぁあああ!」


「や、やべっ!」


「お前……」



杉浦秀が、手すりから下に、落ちた。