時計塔の鬼



当然の反応ながら、男たちは更なる怒声をあげた。



「何つったてめぇ!」


「だーかーらー、俺はテメェらに関わる義理も理由もないわけ。だから早く帰りてーんだけど」


「ざけんな!」


「あれだけナメたことほざかれて、ただで帰すかっての!」


「あーあーあー、テメェら、ホントウザい。そうやってねちっこいから女にモテネェんだよ」



男たちの中でも、主格級の男の眉間の皺が、また一つ刻まれた。

夕陽が、辺りをオレンジ色に染めて、落ちていく。

もう、闇はすぐそこだ。



杉浦秀の言動は、苛立った相手の導火線を短くしていくだけだ。

わざと敵を作っているとしか思えない。

ヤツはわかっているんだろうか。



ここが、時計塔の屋上であるということの危険性を――。



「チッ……」



今度は音も無く、拳が宙を走った。

頬が歪められ、コンクリートの壁に叩きつけられる。

受身を取る暇も無かった。