時計塔の鬼



『一目惚れして、目で追ってて……』

『お、沖田先生に鬼なんかが近づくんじゃねぇよぉっ!』



煩ぇヤツだ。

まだまだ人間のガキの分際で、俺の夕枝に手ぇ出すんじゃねぇよ。

正直、思い出したくもない。

夕枝に危険が迫った時、俺には何も出来ないと、思い知らせやがった人間だ。



……言い過ぎたことは、認めてやるよ。

けど、二度目はないからな。






他にも、見たことあるだけの夕枝の従兄弟の姿だとか、上司の姿だとかが……。

次々に、浮かんでは……、消える。






けど。

やっぱり、一番鮮明で、一番濃く残るのは、夕枝。

お前だよ……。






『関係ないだろ』



俺の言葉に、泣きそうな、けれど泣かずに言い返した女。



『シュウに関係ないなんて……言われたくなかった』