時計塔の鬼



『ちょ、ちょっと、夕枝、この人が、鬼なの?!』



夕枝の親友であるという、人間の女。

夕枝の不安な夜、側に居てくれたのは、あんただったんだってな。

……ありがとう、だな。

外の世界で、夕枝を支えてくれて。

本当に、感謝してる。






『……負けた』



少し情けない顔で、俺を見てそう零した人間。

人間の男に会ったのは、すごく久しぶりだった。

人間で言えば、そう悪くない顔立ちで、背も高い。

信頼される教師になるだろうな。

そういえば、こいつは夕枝が高校生の時の同級生だった男だ。

嫉妬したことがある、なんて格好悪いこと、夕枝には知られたくないな。

……さっきの女と、幸せに暮らしていけばいい。

あんたは、夕枝と似た、お人好しの人間だからな。