時計塔の鬼



「それにしてもなぁ」



ずっとまた突然、さくらさんがのんびりした声を発した。

それに「どうしたん?」と答えたのはさっきまでずっと黙ってたみかんちゃんだ。



「いい顔になったなぁ……」



さくらさんは、シュウの顔を、しっかりジックリと見て、そうしみじみとした様子で言った。

それに驚いたのは、シュウはもちろん私や、歩美、みかんちゃんもで、つまりはこの場にいるさくらさん以外の全員だった。



「は……、何、言ってんだ?」


「だって、笑らっとるやん、シュウ」


「前だって、笑ってただろ?」


「ものすっごい無気力にな。でも、今はちゃうやん。鬼やけど、すごい人間っぽい」



“人間っぽい”

鬼であるシュウにとって、その言葉は似合わないのかもしれないけれど。

きっとシュウにとっては、そう評されたことが、大事なのではないか、な。

そっと、そう思った。



「は? ……俺が鬼だってこと」


「忘れるわけないやん。そんなキレイなんやし」


「…………」


「じゃあ……なんでなんですか?」



言葉に詰まってしまったシュウを視界に捕らえて、つい、口出しをしてしまいたくなった。



「んー?」


「シュウが、人間っぽいって……」



シュウから視線を移したさくらさんは、私を見て、笑った。

なぜなんだろう。