けど、あっさりとみかんちゃんが答えを出した。
「うちのお母さんからやで」
「……なるほど」
納得して自然に頷いてしまった。
みかんちゃんは、母親が来るからか、やっぱりどこか嬉しそう。
シュウは哀れみを湛えた目で、苦虫を噛み潰したような表情の歩美を眺めていた。
そうして、呟く。
「そいつ、なんて名前?」
「え、知らない」
とっさに思い出せない。
歩美はいつも名前じゃなくて、お姉ちゃんと呼んでいたから。
その問いに答えをくれたのは、本当に意外で、本当に当然とも言うべき人物だった。
「さくらやで。鬼さん、久しぶり」