それからしばらくして、歩美の電話は終わった。

パチンと携帯を閉じて、私たち三人の元へ小走りで戻ってくる。



「歩美ちゃん、危ないやろ~」


「えへへ、ごめんごめん」



注意された側の歩美に反省の色はほとんど無く、こちらは苦笑をもらすしかない。

ふと、シュウが抱く腕に、力がこもった。



「シュウ……?」


「や、別に。少し、変な予感がするから」



言い訳がましく、シュウはそう言った。

また、予感?

シュウが力が込められていたのはわずかな間だけで、今は軽く回されている程度の力しか入っていない。



「あ、で、歩美。誰からだったの?」



その少しの間で、目の前で行われる二人の会話からはぐれてしまったようで、少し焦る。



「あ、聞いてなかったんだ。……うん、まあ、ちょっと……ね?」



歯切れの悪い答えに何かを察する。

これ以上は聞くまい、と思った。