心の底からの憎悪を言葉に込めて、胸の底からの嫌悪を眼差しに込めて、体中のありとあらゆる負の感情をまとめてぶつける。
立ち上がれなくなっちまえ。
「お前、よく聞け。夕枝は俺のだ。夕枝の恋人は俺だけだ。でしゃばんな」
「で、でも……っ」
どんどん、血の気を引かせていく顔が愉快だった。
そうだ。
もっと、もっと、傷つけ。
傷ついてしまえばいい。
「ウザいよ、いい加減わかっただろ? これ以上夕枝に近づくな」
「…………」
「消えろよ」
口が、止まらない。
言いたいことは全て言ったような気がする。
だが、身体で溢れてるコイツへの嫌悪が、ツルツルのオイルをさしたように、俺の口をどんどん回す。
「言ったこと、聞こえただろ?」
もう、いい。
止まれ、口。
止まってくれ。
これ以上は、俺のように追い込むだけだ。
昔の俺のように……。


