はらわたが煮えくり返るように、熱くたぎって、体中を強く熱く激しく覆う。
夕枝は、俺の恋人だ。
その夕枝に……ストーカー?
許さねぇ。
許さねぇっ!!
「お前、許さねぇからな?」
夕枝を後ろから抱きしめた。
少しでも、夕枝を守りたくて。
少しでも、近くにいたくて。
少しでも、夕枝を安心させたくて。
そして、俺自身も、夕枝がここにいるって、安心したかったんだ。
「シュウ……」
そう呟いた夕枝の肩から、ふっと力が抜けたのがわかり、俺もホッとした気持ちになった。
不思議そうな顔をしてる周りを意識の外に追い出して、ぎゅっと、夕枝を抱きしめた。
抱きしめてる腕から伝わる、夕枝の体温とか、香りとか、柔らかさ。
そんなものたちが、腕の中にいるのが夕枝であることを、はっきりと俺に教えてくれる。
「あ、あんたが……」
忌まわしい声が、夕枝だけだった俺の意識を現実に引き戻しやがった。
五月蝿い。
煩わしい。
邪魔だ。
「鬼だけどそれがどうかしたのか?」
「お、沖田先生に鬼なんかが近づくんじゃねぇよぉっ!」
「ただの生徒ごときがほざくな。いや、ただのガキだったな。……邪魔だよ、お前」