時計塔の鬼



「なんであんたにそんなことが言えるん?」


「な……っ」


「鬼がいるからなんやっていうん!? いたって別にええやんか! あんたにそないなこと関係あらへんねんろ!? 関わんなや!!」


「……みかんちゃん」



怒りに声を震わして、涙で瞳を潤ませて、痺れているだろう右手を胸に抱えて、爆発したように、みかんちゃんは叫んだ。

その様子に、気迫に、ハッと息をのまされる。



「はぁ? 子供が何を」


「あんたやって子供やわ! 観察ってなんなわけ? それ言葉変えたらストーカーやろ? ありえへん、きしょすぎやわ!」



“ストーカー”

感じたことがある恐怖とその言葉が、ジグソーパズルのように、ピタリと当てはまる。

もしかして……。

否、でもそんなこと、あるはずがないのではないだろうか。

けれど……、ここまできれいに、スッと冴えわたっていった思考の出した答えは――。



「田中、お前、沖田先生をストーカーなんてしてないよな?」



坂田君は厳しい顔に、厳しい声で、脇に垂らした拳を握り締めている。

その拳は、よくよく見れば小刻みに震えていた。



「し、してないに決まってるじゃないすか! 俺、協力するって……」


「言ってたけど、してないわよね、実際は」



歩美も、坂田君に負けず劣らずの厳しい顔に厳しい声音で腕を組んでいる。



「本当に協力していたのは沖田君だけだったわ。よくそれで、親友なんて言えたわね?」