シュウ。
この不思議な時計塔の鬼である、彼は何かを言ってはいなかっただろうか……。
最近ではなくて……何年も、前に。
…そう、八年前にだ。
『あれ……? 圏外やわ。なんや、意味ないやん』
さくらさんの言葉だと言って、シュウが教えてくれたことだ。
きっと、時計塔の磁場が狂っているんだろう、とのことだったけれど。
「何しているんですか?」
思案に暮れていた時、突如として、廊下に低い声が響いた。
ハッとして、皆、携帯電話へ向けていた注意を、その方へ向ける。
コツッ、コツッ……と足音を響かせて、見知った顔が隣の教室から現われた。
「……田中君」
そう呟くと、田中君はどこか作り物めいた笑みを顔に浮かべた。


