歩美が頭を抱えているのを尻目に、他の三人でぽんぽんと会話が進んでいく。



「来年、ここ受けるつもりで、大阪から出てきたねん」


「へぇ、ここ受けるんだ? 意外と難しいぞ? 大丈夫なのか?」


「当たり前やん! 慎兄ちゃんうちのことバカにしてるやろ~」


「さぁな?」


「ちょっとは否定してぇや!」



二人の漫才のような会話に、私も戦線離脱して、笑いを堪えるのに回るしかなかった。

歩美の笑いは呆れと諦めからのものであるようだけれど。



「ね、歩美って大阪出身だったっけ?」


「え? あー、生まれ故郷は大阪だけど、こっちに住んでる期間のほうが長いかも。お姉ちゃんは今も大阪に住んでるけどね」


「あ、だからみかんちゃんも関西弁なの?」


「うん」



私が関西弁特有のイントネーションに圧倒されていたのは最初だけで、あとは自然に馴染むことが出来た。

おそらくそれは、漫才かコントのような会話のテンポのよさのせいもあったのだろうけれど。