時計塔の鬼



職員室から廊下へ三歩出たところで、歩美は仁王立ちして聞いた。

歩美の後ろについていた私も、二歩から三歩へ、歩数を増やした。



「この子が、さ……」


「久しぶり、歩美ちゃんっ!」


「み、みかんちゃん!?」



廊下の端まで聞こえてしまいそうな、素っ頓狂な大声で歩美が叫んだ。



坂田君の背から私たちの目の前に現れたのは、中学生ほどに見える女の子。

黒の猫っ毛、くりんとした大きな瞳。

所々に見覚えがある、ような気がする。

どこで……だっただろうか。

考えてもその答えは出なかったけれど、その答えをくれたのは、その女の子本人だった。



「あ!あなたが沖田夕枝さん?」


「あ、はい。そうだけど……?」



にこっと笑って、女の子は言った。



「初めまして、うちは長谷川みかん。歩美ちゃんの可愛い可愛い姪っ子でーす!」



歩美の姪?

ということは……。



「ああ、歩美のお姉さんの娘さん?」


「うんそうそう~」


「そうなんだ、よろしくね」