時計塔の鬼



「で、だめ?」


「……なにを?」



もちろん、歩美が言わんとしていることの予想はついたけれど。

歩美自身もそれを察しているようで、微かに笑って、特に嫌がる様子もなく先ほどの言葉を復唱した。



「私、鬼をみてみたい」



ストレートに言われては、なんとも言えずに、黙るしかない。

シュウのことを話したのは私自身だけれど……。

本音を言えば、シュウに歩美を紹介したい気持ちもあるし、歩美の頼みも断りたくはない。

けれど、シュウのことが他人に知られて、どうなってしまうのか、という不安もある。

シュウ本人の反応も、気になる。



怖い。

結果がどうなってしまうのかは、誰にもわからないから。

怖い……、けれど。



黙りっぱなしになってしまった私の反応を見て、歩美が微笑を苦笑に変えて、再び聞いた。



「やっぱり、だめ?」


「大丈夫、だと思う」



口が、勝手に動いていた。

怖がってばかりじゃ、何にもならない。

知らないことだからって怯んでばかりいては、何にもならない。

歩美には話すって決めたのは私自身。

だから――、今日の放課後に。