時計塔の鬼



「歩美……さっき言ってたの矛盾してない?」


「だから、気遣われるのは……なんかね、嬉しかったけど、悔しくて、でもすごく安心したっていうか……してしまった自分にムカついたっていうか……された自分が情けないっていうか……」



最後の方は、段々と尻すぼみになっていった。

けれど、歩美が言いたかったであろうことはわかった。

……私も、同じ気持ちだったから。



「歩美……それ、私もだよ?」


「へ……? 夕枝もなの?」


「うん。疲れてるならよく休んでねって。心配させちゃったみたい」


「そっか……」



――ポンッ…

頭に温かい手のひらが触れて。

見上げると、坂田君の手が、歩美と私の頭をまるで子どもに対してするように、よしよしと撫でていた。



「慎ちゃん……?」


「だから、坂田先生だって。……ここがコアラだったら抱きしめてやったのにな?」



甘い空気は伝染する。



シュウ……。

心の中、大好きな……好きで好きで、たまらない異形の鬼を想う。

ずっと一緒に居たい。

今日……、否、出来ることなら、今すぐにでも逢いに行きたい。

この前、倒れていた時のことは、シュウが言いたくなるまで待つと、決めたのだから。

それまでは、聞かない。