時計塔の鬼



歩美の勢いは、お酒が入ってる時までとはいかなくとも、普段の愚痴の時とは絡み方が雲泥の差だ。

多分、寝不足のせいだろうけれど。

きれいに隠し切ったクマのおかげで、傍目にはそうは見えない。



「昨日、寝たの何時?」



ボソッと坂田君がきいてきた。

コソッと私も答える。



「四時前くらい」


「それでか……」



坂田君は納得したようだ。

誰だって、その数字を聞けば納得するだろうけれど。

次第に、歩美の絡みの犠牲になる坂田君が哀れに思えてきた。



「歩美……ね、それ以上絡むのはやめよ?」


「だって……た……だも」



急に小声になった歩美の言葉が拾えなかった。



「え? 歩美今何て言ったの?」


「だから……生徒たちが優しかったの!」



歩美は頬を紅く染めて叫ぶ。

そっと歩美の傍に坂田君が近づく。