時計塔の鬼



いつの間にやら、男子たちまでも会話に加わっていた。

そして、“タメに見える”という言葉が、少し……いや、かなりグサリと深く、突き刺さった。

コンプレックスを見事に刺激されると、人は落ち込むべきか抗議するべきか他の人に八つ当たりするかで激しく悩むものであるらしい。

……私は、そんなに子どもっぽいのだろうか?

後で歩美と葉平を問い詰めてみよう、と密かに決めた。

人選は気楽さからだ。



「じゃ、先生もう行くから。心配ありがとっ」



そう、集ってきた人情派な生徒たちに告げて、昼休みの職員室へと、歩いた。

足取りは心なしか来た時よりも軽くなっていた。






「夕枝……元気そうね?」



職員室に戻った私を迎えたのは、歩美の恨めしげな一言と坂田君の疲れたように苦笑した顔だった。

歩美の鋭い視線に、思わず後ずさった。



「……一体どうしたの?」


「だからねー、もうむかつくったらないんだってー!」


「……はいはい。それで?」


「井上先生、そんな沖田先生に絡んじゃダメっすよ」


「慎ちゃん、歩美って呼びなさいよー!」


「ここは職場だからダメ。俺は公私混同はしない主義なんで。あと、慎ちゃんじゃなくて、坂田先生」


「い、や!」