「何言ってるの! 夕枝の親友は私なのよ? これくらい当たり前なのっ!」
「そして俺は自分の恋人にパシられるわけか……」
突如声が聞こえた方を見た葉平が、途端に眉をしかめた。
「ゲッ………」
「よう、沖田。とりあえずお前のバイトのことは後で聞くから。今はこっち優先な」
「あ、車置けたの?」
「うん。二人とも、俺が送るってことでいいんだよな?」
口を挟む間もなく、新たに加わった坂田君を交えて、とんとん拍子に事が進んで行く。
親友と友達と従兄弟と……。
……みんなの心配と優しい好意が、本当に嬉しい。
本当にいいのだろうか。?
ねぇ、シュウ。
みんなを、頼ってしまっても、いいのかな……?
“いいんだよ”
遠く時計塔からシュウの声が聞こえた気がした。
でも、きっと……シュウはそう言ってくれると思う。
確信なんてのはないけど、きっと、そう。
「……本当に、いいの?」
ポツリと、呟きが零れた。