心のどこかで、勝手に信じていた。

シュウは私を拒まない、と。

求めて続けてくれる、と。

けれど、そんなのはただの思い込みでしかなかった。

自信過剰でしかなかった。



シュウ。

……ごめんなさい。



どれほどの時間が経ったんだろうか。

ふと、そう思って顔を上げた。

そうして、アル物が、目に飛び込んで来た。



「え……?」



それは、微かに夜空の星たちがその存在を主張する中、時計塔が、自らに光を帯びてボゥ……と佇んでいる異様な光景だった。

何なのだろう、アレは……。



「……シュウ?」



答える声はない。

けれど、不思議な確信を感じる。

シュウの心。

あれは、それに共鳴したモノだと。



時計塔の鬼。

その存在を、強く感じて、その厳粛と静謐の中に浮かぶ圧倒的なまでの美しさに、魅入ってしまう。