―Side Yue―…

シュウに拒絶された。



タッタッ……と階段を駆け降りる中、胸を占めていたのはただそれだけだった。

それはついさっき、本当に起こった事実で実際にあった過去のことになっている、紛れもない現実。

何がいけなかったのかとか。

何を間違ったのかとか。

そのことが何度も何度も疑問の塊になって、頭の中を駆け巡る。

これからどうすればいいかなんて、わからなくなってしまった。

否、本当は、今から職員室に戻って、仕事の続きをしなくてはいけない。

山ほど仕事はある。

わかってる。

わかってる、けれど……。



「……っ!」



涙が、止まらない。



二階の連絡通路から校舎内に入り、一番近くにあった教室に走り込んだ。

薄暗い教室の閉塞感が体をビクリとさせたけれど、構う余裕なんてない。



「ぅ……ヒッ……ぅうっ……」



嗚咽を隠そうとしても、塞いだ指の間をすり抜けて、無人の教室に響いてしまう。

影が支配する夜の帳は、とうに降りている。

窓から零れ落ちてくる月明りが、がらんとした教室を静かに照らした。