時計塔の鬼


冷たいけれど……確かに、指に伝わる。

シュウの鼓動が。



生きている。

シュウは生きている。

死んでいない。

それを確認すると、ふぅぅと、体中から力が抜けてしまった。



「シュウ……?」



ゆっくりと、肩に触れて、揺らす。



「起きてよ……?」



また、揺らす。

揺れに合わせて、シュウのサラサラの黒っぽい髪が乱れを作る。

それさえも、やっぱりキレイ。

本当にキレイで美しい、異形の鬼なんだ。



「シュウ。起きて……?」



再三の呼び掛けに、シュウの瞼が、微かに動いたように見えた。

そして――。



「ん……ぅ……」



口から漏れたうめき声に、ハッとして、シュウを見つめる。

今度は、はっきりとわかった。

シュウの瞼が、確かに、揺れて……、塔の天井を、その瞳が確かに映した。



「……さくら……?」