時計塔の鬼



当然ながら、各教科担当の先生からは苦情が相次いで来ている。

この状況では、あらかさまに言われても仕方ないのだけれど。

ちなみに、江川先生は、「はぁ、そうですかぁ~」と癒しオーラ満載で苦情を受け流している。

まねしたくとも、私にはできそうにない芸当だ。

歩美か坂田君あたりなら、なんとかできるかもしれないけれど。



苦情といえば……。

深々と、息をついた。

……嫌なこと思い出しちゃった。






それは、今から1週間ほど前のこと――。



「沖田先生」



放課後、話しかけてきたのは四十手前の中年教師。

でっぷりとした腹を持つ草野先生だった。

話しかけられたことに内心舌を出していたけど、顔もしかめることは理性で押しとどめる。

そして、にっこり笑って、「なんですか?」と答えた。

わざわざ職場の環境を悪くする言われはないので、愛想は基本的に良くしている。



けれど、この人の言葉はそんな理性を吹っ飛ばすかというほど……私をムカつかせた。