時計塔の鬼



突然の申し出に驚いたものの、私は「別にいいけど」と極めて冷静に承諾した。

すると、歩美はぴょこんと立ちあがった。

それはもう、本当にウサギが耳を立てて逃げていく時のように、すごい勢いで。



「本当っ!? よかったぁ~」


「……何かあったの?」



ここが職員室だということは、おそらく歩美の頭からは吹っ飛んでしまっているんだろう。

物凄い勢いで、おそらくは心の底から喜んでいる。

けれど突然、二人してハッと気付き、キョロキョロと辺りを確認した。

が、ラッキーなことにおツボは居ない。

「よしっ」やらの言葉が、ガッツポーズ付きで隣から聞こえた。

そこまで安心したからには何か理由があるのだろう。



「でも、そこまで喜ぶようなことなの?」


「あはは、ええと、ね……“会わせへんねんたら、あんたの家に居座り込んででも見てやるわ”って、お姉ちゃんが……」


「…………」



すごい……っ。

さすがは、歩美のお姉さん。