時計塔の鬼



葉平はきょとんとして「へ? なんで?」と訊いてきた。


ごめん、葉ちゃん。


再び、心中で謝る。


理由はやっぱり言えない。

言わずに教えてほしいっていうのはだめなのだろうか。

けれど、だからと言って、葉ちゃんに全て話すわけにはいかないし。


言えずに黙っていると、葉平はちらっと白い壁にかかっている時計を見た。



「十五分」


「え?」


「その間だけ、待ってて。もうすぐバイトあがるから」


「え、でも」


「いーからいーから!」



“送って行く”

そう言い残し、葉平は仕事に戻った。

その後、葉平は私の遠慮と抗議が混ざった声に適当に相槌を返すだけだった。

つまりは、流された。






「お待たせ」


「……」



そうして、十五分が経ち、私たちは今、コンビニの裏口を抜けて私の住むアパートへと向かっている。